道路の陥没事故の実態
1.長年道路の空洞調査に携わられてきましたが、
道路の陥没事故は年間どれくらいあるのでしょうか?その主な要因は?
今年の10月18日東京都調布市の住宅街で道路が陥没したばかりですが、皆さんが道路の陥没を大変な事故だと認識されたのは、2016年11月8日に発生した博多駅前の道路陥没事故ではないでしょうか?
縦横約30メートル、深さ約15メートルの一つの巨大な穴がぽっかりと空いて度肝を抜かれたと思います。
この事故はメディアで大々的に取り上げられたため周知の事実となっていますが、実は大小かかわらず道路の陥没事故は全国で日々発生しております。
国土交通省道路局が発表した道路の陥没発生件数とその要因から見ると、平成29年度は全国の道路で年間約1万件以上発生しており、平成27年度、平成28年度も1万件以上の道路の陥没事故が発生しています。
道路陥没事故の発生要因の70%以上が道路排水施設、道路側溝、下水管、雨水管等の水に係わるものです。
2.陥没のメカニズムを教えてください。
下記の図は東京大学の桑野玲子教授が第1回路面下空洞連絡会で陥没の原因となる地盤内空洞の地盤陥没のプロセスについて発表した内容です。
まず、何らかの原因により空洞が生成され、降雨や地下水の上昇により空洞が進展します。地表面近くまで空洞やゆるみが到達すると陥没するプロセスです。
このように道路下の空洞を放置するといつか道路の陥没は発生します。その空洞をどう発見、対処するかは近々の課題です。
平時でも年間に1万件以上の陥没事故が発生しており、災害発生時にはもっと多くの陥没事故が発生すると想定されます。