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株式会社 設計室ソイル 高田社長と川口の対談

地盤の液状化リスク 建物に応じた対策

1.高田様の専門分野について

川口 高田さんとゴルフの話は良くしますが、地盤の専門家としてのお顔をお持ちですね。 改めて高田さんの専門分野についてお話いただけますか?
高田様 以前は土木関係の専門工事会社でダムやトンネル現場でアンカー、法面保護、補強土、薬液注入、ジェットグラウトなどの設計施工に従事してきました。現在は、建築の分野で、小規模建築物を対象とした地盤補強の設計や、地盤調査、沈下修復の設計に携わっています。そう考えると、何か一つに固執してやってきたわけでなく、広く浅く経験してきたかと。よって、“専門分野は”と聞かれると恐れ多くて“ありません”と言いたくなりますが、強いてあげれば「土質、基礎」でしょうか。

2.宅地地盤と商業建物(工場・倉庫・店舗)の地盤の違い

川口 地盤の専門家として戸建住宅のような小規模建築物と工場・倉庫・店舗などの中・大規模の商業建築物を建てる地盤の違いについて読者が理解できるようにご説明いただけますか?
高田様 私は、住宅地、商業地といった区分で地盤の違いを見たことはありません。むしろ地形・地質や、地歴(過去の土地利用)で違いをみた方が説明しやすいと思います。例えば、建設地の地形が、後背湿地や谷底平野等に該当すれば、十分注意すべきでしょうし、丘陵地であればそこそこ安定した地盤だと推測できます。また地形が盛土地など人為的に造成した土地になると厄介で、造成内容も考慮して検討しないといけません。
一般に、商業建物の方が戸建て住宅に比べて規模や荷重は大きかったりします。例えば、地盤の軟弱層の厚さが水平方向で差があるような敷地だと、それだけで不同沈下する危険度は増します。そう考えると、規模や荷重が大きくなる商業建物の方が、面積が広いので危険度は増すようにも思います。また商業施設の方が戸建て住宅に比べ、建物被害を受けたときに社会へ与える影響は大きくなるので十分注意する必要があります。これはあくまで傾向であって、戸建て住宅を軽視してよいと言っているわけではありません。ま、犬小屋ぐらいに軽くて小さければ、軟弱層の厚さの差は関係ないでしょうが。

不同沈下のイメージ


3.軟弱地盤、埋立地に商業施設を建てるリスク

川口 店舗などはアクセスの良い場所に建設するのが普通かと思いますが、利便性の高い場所ほど軟弱地盤や埋立地だったりするケースがあります。こういう地盤に建物を建てる場合、どういったリスクがありますか?
高田様 一つは圧密沈下が考えられます。圧密とは、元々土中にある水が上載荷重で圧縮された際に、時間遅れを伴って徐々に排水されながら生じる土の圧縮現象を言います。
例えば、水田を盛土造成して、コンビニエンスストアなどを建設するような光景を郊外で見かけることがあると思います。私は農家の出ですが、田植えのとき田んぼに入った方がいるか分かりませんが、簡単に足首まで沈みます。この現象は、単に支持力不足であって圧密とは異なりますが、そんな軟弱な土地に水は張ってないにせよ、盛土造成しているので、盛土荷重で圧密沈下が生じることは容易に想像できます。よって、仮にコンビニが軽量なのに不同沈下するとなれば、コンビニの荷重は関係なくて、造成時の盛土荷重による圧密現象が何年にも及びそれに引っ張られて建物が不同沈下したと推測できます。これはよくある基礎設計の失敗事例です。
もう一つは、液状化でしょうか。一般に砂地盤で地下水位が浅いと液状化しやすいですが、埋立地など堆積年代の若い土地であれば十分注意する必要があります。また軟弱地盤というくくりをもう少し広げると、“地すべり”、“陥没”、“浸水”といったものもリスクとして含まれると思います。

圧密沈下のイメージ


4.液状化対策の基本的な考え方

川口 液状化被害を防ぐ対策について基本的な考え方から教えていただけますか?
高田様 液状化対策には3つの考え方があります。一つは地盤改良を行って液状化層を非液状化層にしてしまう工法で、これが“王道の液状化対策”です。例えば、緩く堆積した砂層を締固めてしまう、薬液注入で固化する、格子状に地盤改良して液状化層を囲ってしまう、地下水位を低下させるといった工法がこれに該当します。御社で積極的に推進されているKBドレーン工法やレジェンドパイプ工法は、最先端の地下水位低下工法であって、まさに抜本的な液状化対策だと言えます。
もう一つは、液状化層はそのままにして建物の基礎下に杭を設けて、建物の不同沈下を抑える工法です。これも液状化被害の軽減に繋がるので、一種の液状化対策です。これが戸建住宅や商業施設ではよく用いられる工法かと思います。
さらにもう一つ、液状化して不同沈下するのはある意味しょうがないとして、被害が出たら簡単に建物が水平修復できる基礎といった考え方もあります。これは激しく液状化する区域では推奨できません。また施工実績も僅かですが、考え方としてはあります。

地下水位低下工法


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5.面積や建物の重要度に応じた液状化対策

川口 浦安市の様な広範囲で起きる液状化から個人宅レベル、もしくは工場などの施設単位で液状化対策は可能なのでしょうか?
高田様 個人宅レベルを対象として対策する場合、先ほど説明した建物の基礎下に杭を設けて、建物の不同沈下を抑える工法がスマートだと思います。ただし、液状化した後は、敷地の地盤レベルが下がります。ですが建物は杭で支えているので基礎のレベルは維持されますから、建物自体は抜け上がることになります。よって地中に埋設された排水管などは破断したり、玄関ポーチの階段を1段付け足さないといけないような被害が生じたりします。これらの補修は必要ですが、基礎の水平修復工事に比べれば安価な費用で修復できます。
また抜本的な液状化対策を1宅地だけで行うことは、狭くても理論的には可能でしょうが、僅かな改良ボリュームだと施工単価が高額になりがちです。これも敷地は液状化しないんでしょうが、前面道路は液状化するので、先ほどと同様に敷地と道路間でレベル差が生じ、排管などは破断したり勾配が維持できない可能性はあります。そう考えると、抜本的な液状化対策を1敷地で行っても費用対効果という面でどうなのかと思います。抜本的な液状化対策を行うのであれば、個人宅ではなく、区画だとか町内だとかまとめて実施するのがいいでしょう。また商業施設といっても色々あり、工場施設とか大型倉庫など比較的面積の大きな施設に関しては、抜本的な液状化対策を行ってもよいと思います。何故なら、ある程度大きな改良ボリュームで工事すれば、施工単価は下がるため、費用対効果は格段に高まると思うからです。
液状化は、ある程度大きな地震動を与えない限り発生しない事象ですから、これに対してどこまでリスク回避するのか、個人の考えも色々あると思います。まずはリスクとその効果を理解してもらうことが重要だと思います。そう考えると、工場施設や倉庫などは、軽微な修繕で一日も早く復旧しないと、従業員のみならず社会に与える影響も大きくなるので、明らかに戸建て住宅とはリスクへの考え方は違うと思います。経済性だけでなく、建物の重要度に応じた対策の選択が必要だと思います。

(左)株式会社 設計室ソイル 高田社長 (右)メインマーク 川口

株式会社 設計室ソイル 代表取締役社長 高田徹氏

【 語り手 】
株式会社 設計室ソイル 代表取締役社長 高田徹氏
HP:https://www.soil-design.co.jp/

・資格
博士(工学)
技術士(建設部門:土質および基礎)
一級土木施工管理技士
地盤品質判定士
住宅地盤主任技士

・著書
- DVDをみてわかる住宅の基礎と地盤「ザ・ソイル3」/ ㈱建築技術
- 住宅を対象とした液状化調査・対策の手引書/(一社)レジリエンスジャパン推進協議会
- 小規模建築物基礎設計例集 / (一社)日本建築学会
- 2018年版 建築物のための改良地盤の設計及び施工品質管理指針/(一社)日本建築センター・(一社)ベターリビング